21)泰将棋は箸を使って指すべし

摩訶大将棋については、書きたいことがたくさんあるのですが、時間がなかなかとれません。が、今夜、どうしても紹介したいことが1点あります。泰将棋のことです。先週、東京出張の帰りに、「古今将棊圖彙」のコピーを東京国立博物館でもらってきました。古文書を読み解くという観点からも大変面白い文書ですが、この点はまた後日に詳しく書くことにします。泰将棋については、見開きで1枚分の分量ですが、この中に次のような記述がありました。

 

以箸可指

 

「箸をもって指すべし」、だそうです。

 

これを比喩とみるか、本当とみるか。駒数が多くて駒がつかみにくいので、箸でつかんだらいいよ、ということを言ってるのかも知れません。この写本を作った人は、実際、箸を使っていたのかどうか、いずれにせよ、泰将棋は指されていたわけです。

 

ところで、泰将棋の成駒のことも書かれています。成駒は5枚で、酔象(太子)、麒麟(大龍)、獅子(奮迅)、無明(法性)、提婆(教王)となっています。たぶん、鳳凰の駒は、書き忘れたのだと思います。

 

泰将棋の文献での初出は、象戯図(1591年)=象棊纂図部類抄(1592年)=行然和尚の持っていた本(年代不明)ですが、ここには、泰将棋の成りは中将棋に従うと書かれています。謎はまだまだ多そうです。実は、先日、泰将棋の古文書(まだ未公開のもの)を見たという人と話をしました。この件についても詳細わかり次第書きます。

 

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コメント: 4
  • #1

    長さん (月曜日, 14 5月 2012 09:07)

    「著」の写し間違い、書き間違い(「ルール本があれば指せるでしょう。」)、では無い
    では無いとすれば、何故か箸と将棋が関係するのですね。盤が大きく、駒が
    普通の駒なら、ピンセットの代わりという意味での箸は不要ですが。何を言い
    たいのでしょうか。私には謎のフレーズと感じられました。「御椀・かわら
    け・箸を持って」と、それらしい器具が全部書いてあるのなら、「腹がへるの
    で、飯でも喰いながら」の意味とも考えられるのですが。なお、泰将棋も朱雀
    の動かし方や、近王・踊鹿等成りに諸説(ここで述べられている、不成りとは
    別に、それぞれ前旗、方行に成るとの説も強い。)あるため、覚えたつもりで
    も、人対人で指すときにはルール本も手元に置いて、指した方が良いでしょう。
    指し直しも困難なので、トラブルが発生するとたいへんですね。

  • #2

    長さん (月曜日, 14 5月 2012 09:58)

    追加
    「箸があれば届くから」の意味、すなわち「マジックハンドの代わり」
    の解釈も、手と箸とで大差無く、手前から25段目が手で届かなければ、
    箸を持った位で届くとも思えないので、この解釈でもたぶん駄目ですね。

  • #3

    T_T (月曜日, 14 5月 2012 12:44)

    ご指摘ありがとうございます!
    間違い説をとる方が断然いいように思います。箸を使うというのが面白いでしたので、早まってしまいました。

    以著可指
    「著をもって指すべし」

    現存する大将棋の古文書は博物学の書物みたいなものばかりで、駒の動きのマニュアルとしては不適ですが、実は、マニュアルもあったのかも知れません。

  • #4

    溝口和彦 (水曜日, 16 5月 2012 19:21)

    東京国立博物館に行ってきました。
    「古今将棊圖彙」のコピーは入手できませんでしたが、麒麟の特集を見てきました。麒麟は鳳凰との対が多いのを実感しました。霊獣の中では、応龍は色々な駒の名称に使われていますが、霊亀は「玄武」「神亀」などで少数ですね。
    また「獅子」と「狛犬」も対と考えて良いと思いました。