摩訶大将棋については、書きたいことがたくさんあるのですが、時間がなかなかとれません。が、今夜、どうしても紹介したいことが1点あります。泰将棋のことです。先週、東京出張の帰りに、「古今将棊圖彙」のコピーを東京国立博物館でもらってきました。古文書を読み解くという観点からも大変面白い文書ですが、この点はまた後日に詳しく書くことにします。泰将棋については、見開きで1枚分の分量ですが、この中に次のような記述がありました。
以箸可指
「箸をもって指すべし」、だそうです。
これを比喩とみるか、本当とみるか。駒数が多くて駒がつかみにくいので、箸でつかんだらいいよ、ということを言ってるのかも知れません。この写本を作った人は、実際、箸を使っていたのかどうか、いずれにせよ、泰将棋は指されていたわけです。
ところで、泰将棋の成駒のことも書かれています。成駒は5枚で、酔象(太子)、麒麟(大龍)、獅子(奮迅)、無明(法性)、提婆(教王)となっています。たぶん、鳳凰の駒は、書き忘れたのだと思います。
泰将棋の文献での初出は、象戯図(1591年)=象棊纂図部類抄(1592年)=行然和尚の持っていた本(年代不明)ですが、ここには、泰将棋の成りは中将棋に従うと書かれています。謎はまだまだ多そうです。実は、先日、泰将棋の古文書(まだ未公開のもの)を見たという人と話をしました。この件についても詳細わかり次第書きます。
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長さん (月曜日, 14 5月 2012 09:07)
「著」の写し間違い、書き間違い(「ルール本があれば指せるでしょう。」)、では無い
では無いとすれば、何故か箸と将棋が関係するのですね。盤が大きく、駒が
普通の駒なら、ピンセットの代わりという意味での箸は不要ですが。何を言い
たいのでしょうか。私には謎のフレーズと感じられました。「御椀・かわら
け・箸を持って」と、それらしい器具が全部書いてあるのなら、「腹がへるの
で、飯でも喰いながら」の意味とも考えられるのですが。なお、泰将棋も朱雀
の動かし方や、近王・踊鹿等成りに諸説(ここで述べられている、不成りとは
別に、それぞれ前旗、方行に成るとの説も強い。)あるため、覚えたつもりで
も、人対人で指すときにはルール本も手元に置いて、指した方が良いでしょう。
指し直しも困難なので、トラブルが発生するとたいへんですね。
長さん (月曜日, 14 5月 2012 09:58)
追加
「箸があれば届くから」の意味、すなわち「マジックハンドの代わり」
の解釈も、手と箸とで大差無く、手前から25段目が手で届かなければ、
箸を持った位で届くとも思えないので、この解釈でもたぶん駄目ですね。
T_T (月曜日, 14 5月 2012 12:44)
ご指摘ありがとうございます!
間違い説をとる方が断然いいように思います。箸を使うというのが面白いでしたので、早まってしまいました。
以著可指
「著をもって指すべし」
現存する大将棋の古文書は博物学の書物みたいなものばかりで、駒の動きのマニュアルとしては不適ですが、実は、マニュアルもあったのかも知れません。
溝口和彦 (水曜日, 16 5月 2012 19:21)
東京国立博物館に行ってきました。
「古今将棊圖彙」のコピーは入手できませんでしたが、麒麟の特集を見てきました。麒麟は鳳凰との対が多いのを実感しました。霊獣の中では、応龍は色々な駒の名称に使われていますが、霊亀は「玄武」「神亀」などで少数ですね。
また「獅子」と「狛犬」も対と考えて良いと思いました。