しばらくの間、投稿があきました。そういうときは何かあるときなのですが、今回は、卒論のシーズンだったからです。今日が卒論発表会でした。来週からまたゆっくりと書き残していることを投稿していこうと思います。
今年の卒研生(9期生)はこれまでで一番少なくて、7人です。7人のうち、4人が摩訶大将棋関連のテーマで発表となりました。摩訶大将棋をテーマに4件の発表、多少変わった研究室ではあります。
4つのテーマは、次のとおりです。
1)摩訶大将棋対局時での脳血流計測(NIRS計測)/認知症の予防になるのかどうか
2)立体駒を用いたアドバンスド摩訶大将棋/光学タグの利用/3Dプリントによる造形
3)摩訶大将棋キャラクターカードのデザイン
4)摩訶大将棋の棋譜・戦法の検討/習得プロセスの観察
2)は先週、学会発表しました(JPCATS 2014)。1)3)4)は合わせて、3月のゲーム学会にて発表予定です。
コメントをお書きください
長さん (月曜日, 15 12月 2014 15:15)
1)について。摩訶大将棋だけではなくて、天竺大将棋や広将棋でも、ほぼ同じ効果が期待できると私は予想します。
2)はゲームシステム開発の研究であって、学会発表はしやすいですね。
3)について。このテーマによってたとえば、美術史に何んらかの寄与があるのでしょうか? 個人的には摩訶大将棋関連中で、比較的意味が難解な名称の駒、たとえば「淮鶏」や「古寺鳥(成老鼠、蝙蝠の大大将棋版)」等の意味を研究する卒論を書き、その説明挿絵に使うのが普通と思いましたが。
4)の戦法の検討が大学で許されるのなら、日本将棋連盟の一部分が、大学の研究室として既に存在するはずですね。前半だけでは、テーマになりにくいと思います。「習得プロセスの観察」が卒論の中心なんでしょうね。
T_T (火曜日, 16 12月 2014 01:44)
長さんへ
コメントありがとうございます!
天竺大将棋も広将棋もやったことがありませんので、どのくらいの面白さなのか私にはよくわかっていません。摩訶大将棋と同じくらい面白いとしますと、候補のひとつになると思います。
認知症の予防のための要件のひとつとして、対局時間がある程度長いということが必須だと考えています。対局中には、前頭前野の血流が増加します。一方、前頭前野の血流は認知症の症状が進むほど減少していくという論文が今年出ています。
ですので、長い時間の対局であることは重要です(摩訶大将棋の対局時間は、平均で2時間~3時間です)。しかし、面白くもない将棋をそんな長く指すことはできません。この点、摩訶大将棋は中盤も終盤も面白く、要件を満たします。もちろん、本将棋も面白いのですが、戦略性が強いため実力差が出すぎる点、初心者の場合は長時間の対局にならない点が、少し難点です。摩訶大将棋の場合、指し手を直観的に選ぶという点で、本将棋よりは、ふつうのボードゲームに近く、実力差が本将棋ほどには出ないようです。
摩訶大将棋のもつ歴史性、呪術性も、遊戯する際には大きな観点なのだと感じています。単に駒を動かしているというのではなく、手にもつ駒たちは、玉を守る十二神将や八部衆なわけです。私の場合、最近の対局では、駒を動かしているというよりも、八部衆が動いていると言った方が近いほどの没入感を感じるときがあります。少し陰陽師になっているのかも知れませんが。
学会発表の件ですが、1)3)4)は別々に発表するのではなく、全部を含ませて1件の発表です。メインは1)です。3)は学会発表にはなじみませんが、発表の中で、カードも作っているんですよとコメントを入れます。カードは、むしろ、広報で活躍します。展示会では、子供たちには結構人気です。
4)の件ですが、戦法を発表して研究になるのですか、というコメントは、ときどき聞きます。しかし、たぶん、研究の範疇に入るでしょう。本将棋の戦法は、もちろん、研究テーマにはなりません。この違いは、摩訶大将棋の歴史性にあります。摩訶大将棋は、まだ発掘されたばかりですから、そもそも戦法があり得るのかどうかという点も明らかでなく、興味としては新鮮です。少なくとも、ゲーム学会には合致したテーマだと考えます。摩訶大将棋が非常に面白いボードゲームだったこと自体、ひとつの発見で、このことから、鎌倉時代の(もしかすれば平安時代の)遊戯の豊かさが実感できるわけです。さらに、戦法もいろいろにあるとなれば、中世の誰がそのゲームクリエイターだったのか、ともあれ、日本の中世恐るべしという驚きはあります。研究として追及されるべきテーマではないでしょうか。この件、また後日に投稿することになると思います。
長さん (火曜日, 16 12月 2014 08:22)
日本将棋と、私の挙げた3種の古典将棋との間には、認知症に対する効果がかなり違うと思われる点があります。将棋は、「シニア」にとって現実、ルールが事実上自明なんですね。ほとんどの着手について、機械的に手を考えるだけなんです。脳の特定部分の発達を促しており、認知症に特徴的な記憶力部分の退化の予防効果は、少し少ないような気がします。それに対し、摩訶大将棋、天竺大将棋、広将棋は、着手を選択するとき、現実としてルール全部が反芻されます。その点が3種内については似ている感じがしますね。特にローカルルールの調整を、頭の中でしながらの時は。つまり脳の記憶力部分の体操をしている感じです。対局時間は、天竺大将棋だけ短いので、他の2種と少し違いますが。
T_T (水曜日, 17 12月 2014 02:12)
長さんへ
コメントありがとうございます!
ご指摘の件、確かに!!
摩訶大将棋の一手一手で、『ルール全部が反芻されます。』
この点、認知症の予防という観点からは非常に重要に思えます。私の場合、摩訶大将棋はもうかなりの対局数をこなしていますが、まだ、周辺の駒の動きを反芻しつつです。本将棋だと、この反芻はありませんよね。
ところで、摩訶大将棋が認知症の予防となり得る件ですが、長さんと私が認知症にならないことで、多少なりともその信頼性を示すことができますね。