221)奔*の駒:鶴岡八幡宮からの出土

今日もまた引用となります。投稿215)で書きかけのまま続きを書いていなかった話題です。それから半年もたってしまいました。奔*の駒が、なぜ大将棋の復刻の正当性を裏付けるのかは、また後日に書きます。長くなる話です。

 

------(以下、引用)

表2で奔*と記載した駒は、駒の上部に「奔」の字の上部3分の1ほどが残されていた駒である.ただし,将棋史に関するすべての論文や単行本で,この駒は香車だと考えられている.出土駒の資料集[6]には写真とスケッチの掲載があるが,不明瞭のため判別はできない.原論文[7]に明瞭なスケッチがあり,これから香でなく奔と解読すべきことがわかる.この駒がなぜ香車とされてきたかについては不明であるが,その理由としては,1)駒の形状が細長いこと,2)奔と香の字体の類似,3)当初中将棋の駒とされ,大将棋は候補から除外された点等が挙げられる.形状と大きさからは,奔王と見ることはできず,成り駒の「奔*」の上部が残されたのであろう.この出土駒は,大型将棋の成立順およびそれから導かれた大将棋の復刻[4]の正当性を裏付けるものだと考える.

 

参考文献(上記引用との関連文献のみ)

[4] 高見友幸,喜田隆司,象戯圖に基づく大将棋の復刻,

国際ICT利用研究学会創立記念論文誌, 117-122,2017.

[6] 天童市将棋資料館,天童の将棋駒と全国遺跡出土駒,2003.

[7] 宇田川正宏,八幡宮弓道場跡地より出土の将棋の駒,

鎌倉考古,No.3,17-18,1980.