233)陰陽五行からのアプローチ:摩訶大将棋の復刻の方法論

摩訶大将棋の駒の動き方(陰陽五行を考慮した場合)
摩訶大将棋の駒の動き方(陰陽五行を考慮した場合)

 

上図は、陰陽五行を考慮した場合の駒の動きで、2018春版からは、さらに、仲人、嗔猪、老鼠が変更されています。この変更の理由は、前稿232)で挙げた銀将、臥龍の変更と同じ理由です。しかし、上図を2018春版として採用しなかったのは、摩訶大将棋の復刻のキーポイントとなった仲人の変更があるからです。もうかなり長い間、仲人は前後左右に歩く駒として対局をしてきました。それと、もっと重要な1点、文献学からのきちんとしたフォローがまだ見つかっていないという点も大きいでしょう(多少はあるのですが)。ともあれ、16日からの摩訶大将棋展2018では、この摩訶大将棋に仕組まれた陰陽五行のことは大きな話題のひとつでもあります。納得していただけるのかどうか。

 

呪術としての将棋を考慮していない将棋史の研究などあり得ないと最近は思っています。将棋を遊戯としてだけ捉えている限り、将棋史の解明は無理ではないでしょうか。

 

十二支があるのに、十干がなく、なぜだろうとずっと考えていました。しかし、実は、木火土金水の駒がそれぞれ12枚ずつ含まれています。その12枚の駒は、6枚ずつ陰陽2つのグループに分かれます。まさに「律呂」です。象戯圖の冒頭の序文を思い返してみて下さい。まず、天文の駒のことが書かれ、次に地理の駒のことが書かれ、その次に、陰陽、律呂のことが書かれています。象戯圖は、言うなれば、呪術の秘密を書いた巻物ですから、読み解けば、全部の文脈が意味を持っているのかも知れません。

 

陰陽は名称ではなく駒の動きで示されています。五行を形成するそれぞれの駒を、陰陽に分け、十干とし、十二支と組み合わす。このように、摩訶大将棋はいちからきちんと設計された将棋であるということが明らかです。そのことは、摩訶大将棋が小さな将棋から徐々に進化して出来上がった将棋ではないことを示しています。

 

最後に1点。歩兵と同じで、後ろに戻れない仲人、まだ試していませんが、遊戯としてもこちらの方が。

 

(もう少し書くかもです。とりあえずいったん置きます。)