摩訶大将棋の将棋盤のサイズについて、最近、新しい発見がありました。前稿では、19×19ではない可能性ありと書きましたが、可能性というよりはもっと断言していいものと思われます。摩訶大将棋の復刻は、もうこれで終わりこれで終わりと何度も思ってきましたが、また、今回、こういうことが起こりました。将棋盤も作り直さないといけません。コンピュータ摩訶大将棋も修正が必要です。上図はスクリーンショットから作っただけの図ですので、格子模様がずれています。つまり、筋違い角、筋違いマカツになります。これまでの摩訶大将棋の打ち方とは少し違ってきますので、ご注意のほど。
いちおう、各大型将棋の将棋盤のサイズは、以下のとおりです(もう、断言でいきます)。
摩訶大将棋:19マス×16マス
大将棋 :15マス×14マス
平安大将棋:13マス×10マス
なお、平安将棋は、 たぶん、9マス× 8マスだろうと考えます。
この結論は、将棋の成立順や摩訶大将棋の成立時期とも連動しており、次のようになります。
将棋の成立順: 摩訶大将棋 --> 大将棋 --> 平安大将棋 --> 平安将棋
摩訶大将棋の成立時期:9世紀後半(専門文献をまだきちんと当たっていませんが、10世紀よりも前だと思われます)
この件で発端となる論拠は歴史学からの1点のみですが、傍証が複数あり、それぞれが結論を支持していますので、これで間違いないだろうと考えます。そうだとしますと、大型将棋が次第に小さくなっていった理由は、当時の社会情勢が主な原因で、遊戯とは無関係だということになり、個人的にはがっかりしています。一方で、大型将棋のペルシアへの伝来問題、つまり、クイーンの起源の問題にとっては朗報です。
なお、象戯圖の摩訶大将棋の項には、縦横各19目と記されていますが、これは間違って伝わったものでしょう。研究当初は、古文書の記述を絶対的と考えていましたが、記述の間違いが多数あることもわかってきました。古文書の少ない遊戯の遊戯史研究では、文献学第一は問題かも知れません。ただ、これとは真逆な例になりますが、二中歴の大将棋の記述は、きちんと正しかったです。盲虎や鉄将や銅将の動きをあのように書いている資料は、さほど重要視しなくてもいいだろうと考えていましたが、全く間違いでした。あの動きで問題ありません。一方如此行方准之の箇所も解読できたかもです。
今週末の発表、何か楽しみです。どういう質疑応答になるのでしょう。