253)将棋とチェスのルーツは同じでしょうか

ー インドのチャトランガ、ペルシアのシャトランジが西に伝搬してチェスになり、東に伝搬して将棋になった。ー 現状、これはかなり固い定説と言えるでしょう。

 

ただ、本ブログでの考察結果からは、将棋とチェスのルーツは全く別である、という答えが出ています。その後、互いに融合し、共通部分を持つに至ったという言い方が正しそうです。まだ研究途上ですが、チェスのクイーンが奔王に由来するかも知れません。仲人の駒が中世ペルシアにまで伝わっていることを考えれば、検討の余地は大いにあるでしょう。

 

チェスは、定説どおり、縦横8マスの盤、16個の立体駒を使うシャトランジから派生したものですが、将棋がシャトランジからの派生であるとは絶対に言えない理由があります。それは、原初の将棋が、駒数多数の将棋だったからです。

 

この根拠は、文献学や考古学に依るものではありませんので、現代の学会発表や論文には馴染みにくいのですが、将棋が作られたのは古代です。是非古代に戻って考えていただけたらと思います。

 

古代の宇宙は、木、火、土、金、水の五行から作られていました。つまり、陰陽五行説です。原初の将棋は、中国や日本の古典籍から見る限り、この陰陽五行説のもとで設計されたようです。将棋を構成する5つの要素(=五行)は、人の駒(将の駒)、踊り駒、走り駒、獣の駒、成り駒の5種類です。五行のそれぞれは、駒の動き方により、陰陽のペアに分けられますが、これは、木が甲(きのえ)と乙(きのと)に分かれるのと全く同様です。このようにして、十干ができあがります。さらに、将棋で六十干支を作ろうとすると、各五行に12種類の駒が必要ですが、摩訶大将棋には、各五行にちょうど12種類の駒が割り当てられています。詳細は次の投稿を参照下さい(今は、細部については、多少組み替えていますが、本質は同じです)。

投稿234)摩訶大将棋の陰陽五行:駒のグルーピング

 

摩訶大将棋が、別の将棋から、たとえば、もっと小さな将棋からの発展で作られたものと考えるのはむずかしいでしょう。12種類ずつに駒を分類するのはできるでしょうが、それぞれのグループ内で、駒の動きにより陰陽のペアを作るという調整は無理ではないでしょうか。こういう整然さを持つということは、最初に作られた将棋であることの証明でしょう。

 

上記、将棋の陰陽五行説には、かなり多数の傍証を挙げることができます。大大将棋も陰陽五行で構成されることや、五行相生を見ることができる点、陰陽寮や陰陽師が強く関連する点等です。順次投稿していきます。