260)古代日本の将棋の盤について

左)平安将棋、右)平安大将棋
左)平安将棋、右)平安大将棋

 

左が平安将棋(横9マス・縦10マス)、右が平安大将棋(横13マス・縦10マス)です。敵味方の歩兵の間隔が4マスというルールです。このルールは、チェス、シャトランジもそうですが、その他、大型将棋で言えば、ペルシアのTamerlane Chess(横11マス・縦10マス)や、ドイツのCourier Chess(横12マス・縦8マス)、スペインのGrant Acedrex(横12マス・縦12マス)は、どれも、歩兵相当の駒が、敵味方間でちょうど4マスの間隔です。これを、将棋盤の標準ルールだとする仮説もあり得るでしょう。

 

摩訶大将棋の場合、このルールに従えば、横19マス・縦16マスですが、陰陽道に起因する別の説明も可能です。この件は、すでに、以前の投稿243)投稿245)投稿247)にて議論しています。

 

ところで、本稿、上に挙げた2つの図が焦点です。特に、右の平安大将棋は、すべての論文と一般書で、縦横13マスの図しかありません。将棋の盤は縦横が同じ数であるべしという思い込みからでしょう。いろいろ論文を探してみましたが、根拠なしのようです。だとすれば、多少とも根拠のある横13マス・縦10マスの方が無難ではと思う次第です。遊戯としても、縦10マスの盤を使う方が現実的であることは明らかですし。

 

平安将棋の方は、伝来の話とも関連しますので、もっと重要です。9マス9マス、8マス9マス、8マス8マスといろいろありますが、やはり根拠は希薄です。横9マス10マスだとすれば、実は、中国の象棋と同じです。象棋も、当初は、兵卒が4目の間隔だったのではないでしょうか。後になって、1目ずつ前に動かされたのでは。同じように、将棋も縦1マス分短くなったみたいな軽い感じの考え方でよさそうに思います。平安将棋から現代将棋へは、勝敗のルールの変更、飛車と角行の追加、桂馬と銀将の動き変更、と他にも変更点が多いですから。

 

また、平安大将棋から平安将棋ができたとしたとき、この2つの将棋の縦方向のマスの数が同じとするのは、いちおうの理もありそうです。