280)大型将棋呪術説:31はマジックナンバー

投稿279)では、中国象棋が平安大将棋から作られたと書いたが、そんなこと、あるはずがないと思った人も多いのではないだろうか。そこで、下の図を見ていただきたい。摩訶大将棋を起源の将棋として、各種将棋がどのような順序で作られたかを示す図である。31枚という単位で駒が取り除かれていることは、投稿244)ですでに述べたが(*注)、ここでは、平安大将棋から平安将棋と中国象棋への分岐に注目されたい(本稿が初出)。

 

13種34枚の平安大将棋が、6種18枚の平安将棋と7種16枚の中国象棋に分割されたと見ることができる。

 13種=6種+7種  34枚=18枚+16枚。つまり、

 平安大将棋=平安将棋+中国象棋

という等式が成立するのである。このことをもってして、平安大将棋から中国象棋ができたという根拠にするわけではないが、そういう可能性もあるかも知れないと思わせる数字ではあろう。

将棋の成立順。摩訶大将棋を起源の将棋として、31枚ずつ駒が取り除かれていく。
将棋の成立順。摩訶大将棋を起源の将棋として、31枚ずつ駒が取り除かれていく。

 

平安大将棋=平安将棋+中国象棋という等式の意味は、もっと確かなルール(呪術としての将棋のルール)から導くことができる。そのルールは、兵が成れば横に動くことを説明し、象がななめ2目に進むことを説明する。

 

これとは別に、31というマジックナンバーも説明されなければならない。マジックナンバー、文字通り、呪術の数。取り除かれた31枚の駒は、天子に献上された。このことは拾遺和歌集に読まれているとおりである。だとすれば、32枚の中国象棋は、中国の天子に献上されたと見ることもできるのではないか。この1枚の差を「字余り」と見るのかどうか、まだよくわからない。平安大将棋から中国象棋が作られたという説(第2話)、このあたりで、いったん置きます。

 

*注)投稿244)は2018年夏での理解であり、一部間違いが含まれていることにご注意。